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目次
- Intangible Assets (無形資産)
- Property, Plant, and Equipment ; PP&E (有形固定資産)
- Basic Consepts (基本概念)
- Q1: 「USCPAは資産負債アプローチという概念的なフレームワークに基づいている」とあるのですがこれは一体どういう意味なのですか? 日本では確かに新聞などでは営業利益、経常利益(通称、ケイツネ)、または売上高などがよく新聞の見出しを飾っていると思うのですが、アメリカではそうじゃないのでしょうか?極端かも知れませんが、新聞の見出しに流動資産の比率や運転資本、流動比率などが注目されて、利害関係者は重視するのでしょうか?
- Q2: その他の包括利益(other comprehensive income)は B/Sでは資本の部分に分類されると思うのですが、なぜか損益計算書に出現しています。どうしてなのでしょうか?
- Bonds (社債)
- Depreciation (減価償却)
- Leases (リース)
- Stockholder’s Equity (株主資本)
Intangible Assets (無形資産)
Q1: 資産化と費用化のメリットとデメリットについて教えてください。一般的に資産として認識する(資産化)ことと、費用として認識する事(費用化)とは何がどのように違ってくるのでしょうか?
A1: 資産化することのメリットですが、費用となるのが遅れるため、資産化した年度における損益が良くなります。
デメリットですが、資産化した年度における損益が良くなるため、資産化した年度における法人税額が多くなります。
Property, Plant, and Equipment ; PP&E (有形固定資産)
Q1: 資産除去債務(ARO)の仕訳で、「デビッド Accretion expense 135 キャッシュ ARO 135」 となっているのですが、これは一体何を意味しているのでしょうか?
A1: ある工場設備の10年後の解体費用は$5,000、割引率は4%、現在価値を$3,378と仮定してみます。
まず、ARO とは資産除去債務ですが、これは初年度に計上した$3,378というARO 額の「時の経過による」負債の金利費用です。(実際、割引率4%を乗じた3,378*4%=135が ARO 勘定に足されています。)このようにして ARO 負債は毎年段々と大きくなっていき、最終年度には$5,000になるわけです。このとき費用が発生するという形になっています。この最終的に支払われなければならない法的義務である資産除去費用に併せて ARO が毎年増えていくということになります。
Basic Consepts (基本概念)
Q1: 「USCPAは資産負債アプローチという概念的なフレームワークに基づいている」とあるのですがこれは一体どういう意味なのですか?
日本では確かに新聞などでは営業利益、経常利益(通称、ケイツネ)、または売上高などがよく新聞の見出しを飾っていると思うのですが、アメリカではそうじゃないのでしょうか?極端かも知れませんが、新聞の見出しに流動資産の比率や運転資本、流動比率などが注目されて、利害関係者は重視するのでしょうか?
A1: 資産負債アプローチとは利益を計算する方法の一種です。対極にある考え方として収益費用アプローチというものがあります。
まず説明をわかりやすくするために、収益費用アプローチについて説明すると、ある会計期間に計上した収益から、対応する費用を差し引いた金額をその会計期間の利益(損失)とするのが収益費用アプローチです。
これに対し、ある会計期間における資産の増減額から、負債の増減額を差し引いた金額、言い換えれば純資産(資本)の増減額を、その会計期間の利益(損失)とするのが資産負債アプローチです。
例えば、2018年の営業利益が$100,000で営業外費用が$10,000であるとすると、当期純利益は$100,000-$10,000=$90,000、つまり2018年の企業の利益は$90,000になる、という考え方が収益費用アプローチです。
言い換えれば、損益計算書に注目して企業の利益を評価する考え方を言います。
他方、2017年度末における資本の金額が$150,000で、2018年度末における資本の金額は$240,000であったとすると、資本が$90,000増加しているので、2017年の企業の利益は$90,000になる、という考え方が資産負債アプローチです。
こちらは、貸借対照表に注目して企業の利益を評価する考え方です。
これら2つのアプローチにどのような違いがあるかというと、資産負債アプローチの下では収益費用アプローチよりも利益の範囲が広くなります。収益費用アプローチの下で認識されない損益、例えば、資本に計上された有価証券の時価評価差額などの、いわゆる「その他の包括利益(other comprehensive income)」も、資産負債アプローチにおいては企業の利益として財務諸表に取り込まれます。
US GAAPが資産負債アプローチを採用している、と言われる所以の一つは、包括利益(comprehensice income)を財務諸表に計上していることにあります。
包括利益とは、当期純利益にその他の包括利益(other comprehensive income)を加味した財務指標です。従来のUS GAAPは収益費用アプローチに基づいて、当期純利益のみを財務諸表に表示しておりましたが、様々な投資家のニーズに対応するため、当期純利益を従来どおり損益計算書に表示することとしつつ、拡張した指標として包括利益も表示することとしました。
ですから従来から指標となってきた売上高、営業利益、当期純利益などは、引き続き財務諸表において開示されますが、それに追加して、その他の包括利益、包括利益という概念が加わったとお考えになってください。
Q2: その他の包括利益(other comprehensive income)は B/Sでは資本の部分に分類されると思うのですが、なぜか損益計算書に出現しています。どうしてなのでしょうか?
A2: その理由は、そのフォーマットが、Statement of Earnings and Comprehensive Incomeだからです。一般的なSales revenueからNet incomeまでのIncome Statementと、Comprehensive income までの Other comprehensive incomeを一緒に表示させているフォーマットというのも一般的には存在します。そのフォーマットはその一例となっています。
Bonds (社債)
Q1: 転換社債の意味は理解が出来たのですが、ワラント債についてあまり理解が出来ていません。
A1: 簡単に言うと、転換社債は「株式に変換できる社債」です。転換権を行使すると社債は自動的に償還されるため、結果として投資家が保有していた社債が株式に変わります。
これに対して、ワラント債(新株予約権付社債)は「株式を割安で購入できる権利が付与された社債」です。社債と新株予約権は別の扱いになっており、投資家は社債を保有しながら新株を購入することも可能です。
現実的な話をすると、投資家にとって転換社債は、例えば、市場の金利が下落した場合には転換権を行使して株式に変え、そうでない場合には転換権を行使せず社債として保有し続ける、
というように市場の状況を見ながら、有利な投資形態を選ぶことができる証券であると言えます。
ただし、株式に転換してしまうと、社債から得ることができた金利が失われてしまうため、判断を誤ると不利な条件の投資形態を選んでしまうリスクもあります。
一方、ワラント債は、株価の動向に応じて株式を購入するかどうかを選択することができます。株価が上昇し、新株予約権の行使価格を上回った場合には、市場よりも安値で株式を購入できるため、投資家は新株予約権を行使すると考えられます。
株式を購入して株価が上昇すれば、投資家は社債からの金利に加えて、キャピタルゲインも獲得できるため、高い利益を得ることができます。ただし、ワラント債は新株予約権が付与される分、通常の社債よりも投資額が割高になるという欠点があります。また、一般的にワラント債は、株価変動のリスクが高い企業が発行することが多く、投資家にとってハイリスク・ハイリターンの投資であると言えます。
結局、転換社債とワラント債とどちらの方が有利であるかどうかは、投資家が市場の条件や、リスクとリターンのバランスを考慮して、各自の判断で決めることですから、一概には言えない面はあります。重要な相違点として、転換社債は社債か株式、どちらかの形態でしか存在しえないのに対し、ワラント債は社債と株式の両方が併存する可能性がある、という点にご注意ください。
Q2: 「プレミアム発行=簿価>額面」、「ディスカウント発行=簿価<額面」という事は理解が出来ました。この際に「時価」はプレミアム発行とディスカウント発行には何の影響も与えないのでしょうか?「時価」は一体どこで出てくるのだろう?と漠然と考えてしまいました。簿価=額面ではないのでしょうか?言葉のニュアンスでだいぶ意味が異なるとは思うのですが、僕は、簿価=額面のような気がするのですが、この考えのどこか間違っているのでしょうか?
A2: 社債をディスカウント発行するということは、額面以下の価格で発行するということ、言い換えれば、発行価格から割り引いた価格で発行するということです。つまり、$1,000という額面をもっている社債を$970という発行価格で販売するということです。この$970というのがcarrying amount(簿価)であり、その時購入した価格ですので、その時の時価になります。しかし、社債はずっと保有する場合、時価評価は行わず(=どんなにこれ以降時価が上がったり下がったりしても帳簿に一度書かれた価格をそれに合わせて調整しない)、時価は無視することになります。
Depreciation (減価償却)
Q1: 「salvage value」とはどういう意味なのでしょうか?「Value」だけではニュアンスが違うのでしょうか?例えば、「no value」 と 「no salvage value 」ではどのようにニュアンスが違ってくるのでしょうか?
A1: Salvage value とは、固定資産の耐用年数終了時に見積もられる帳簿上の価値のことで、毎年の減価償却計算時に必要な金額です。
例えば、cost $50,000 、耐用年数5年、Salvage value $10,000 とすると(定額法では)、毎年の減価償却費は $8,000(($50,000-$10,000)÷5)で、5年後の salvage value は $10,000 です。
No salvage value であれば($50,000÷5)で、毎年の減価償却費は、$10,000 と計算します。また、no value とは会計用語ではなく、単に価値がない($0)という意味です。
Leases (リース)
Q1: 「直接金融リースにおけるリース債権(lease receivable)は、最低リース料(minimum lease payments)と残存価額(residual value)で構成される。」とあるのですが、これは一体どういう意味ですか?
A1: 直接金融リースは、「賃借人の支払いを立て替えているだけ」で資産の販売益を認識しませんね。最低リース料というのは、つまり、支払われるリース料の単純合計です。「最低(minimum)」と記載されているのは、リース契約で支払われるよう規定がされている分、この分は必ずもらえる(はず)という意味合いで最低受領する予定の金額、ということになります。
残存価額というのは、当該資産がリースされた期間が終わった時に、まだ残っている資産価値です。まだ価値が残っていたならそれをまた再度リースするなり売却するなり出来るわけですから、この分も価値に含めることになるわけです。
それに対し、販売型リースの場合、lessor は当該資産の販売益を認識するため、販売益(つまり、資産の fair value からコストをひいたもの)と受取利息が components ということになります。
Stockholder’s Equity (株主資本)
Q1: Additional paid-in capital(APIC)とはそもそも何なのでしょうか?
A1: 追加払込資本(additional paid-in capital)のことですね。
資本取引は、会計のみならず、会社法が深く関係しており、会社法の理解を進めなければ分かったことにはなりません。
REG の範囲の「会社の資本構造」のところでも学習されると思います。
会社の資金調達として、以前は、額面金額で株式を発行するのが主流でした。
額面金額×発行株数が資金調達額で、この金額が全て資本金になりました。資本金とは会社に維持拘束されなければならない拘束の強い資金です。
維持拘束しなければならない根拠は、会社債権者の保護の要請です。
その後、時価発行増資の時代になり、額面金額を超える株価で資金調達が図られました。
(発行株価-額面金額)× 発行株数がAdditional paid-in capitalになります。Additional paid-in capitalも会社に維持拘束されなければならない資金ではありますが、資本金程拘束力は強くなく、liquidating dividends (清算配当) のケースなどにおいて、額面金額とは異なる維持拘束性が示されることになります。